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Dirty Dirt

Hauschka “Abandoned City”
きょうも。
届きものがあったし、BIG LOVEさんで買い物もしたし、たくさんかくことがあるんだけれど、なによりも、これのことを。

IMG_4634.JPG
Hauschka “Abandoned City”
Volker Bertermann。
これまでにたくさんな音楽をきいてきたけれど、いっとう好きなひとなひとり。
ピアノの弦にテープやら木の棒やらをつけて、音をパーカッションのように変化させ、それでリズムのような音をいっしょに鳴らしながら演奏するデュッセドルフのピアニストです。
ミニマルな反復、っていってもサティのようなゆったりとしたものではなく、クラウト反復くらいな細やかで素早い反復感で。
このブログ、いままででいっとうたくさんなひとに読まれた記事っていうのが、“Salon des Amateurs” のレヴュウだったりもします。
それまでのHauschkaの映像やら、説明がかいてありますんで、ぜひ。

http://dirtydirt.jugem.jp/?eid=424

“Foreign Landscapes” でオーケストレーションを導入、“Salon des Amateurs” ではドラムに電子音をくわえてダンス仕様に、Hildur GuðnadóttirやHilary Hahnらとの共作を経て、こんどはピアノだけなアルバムを。といっても、もちろんプリペアードピアノです。
ジャケットからして暗黒な、インダストリアルな方面へも通じる廃墟写真で。

クレジットをみたなら、Hauschkaのプリペアードピアノとその場での電子な処理のほかは、3曲目でクラリネット、バスクラ、コントラバスがはいるのみで。それが、ピアノそのものへの回帰、というわけではないところが、すごい。

1曲目、“Elizabeth Bay” からもう。 プリペアードピアノだけな音なんだけれど、ひとつひとつの音がぼやけて反響するような処理をしていて、それが靄となってつぎの音をつつみこんで、けっこう暗黒な雰囲気をかもしだして。
パーカッシヴな音の反響は、すこしまえにきいたdigitalisからなスウェーデンのシンセ、ミニマルテクノなPeder Mannerfelt並み。Nils Frahmのシンセ曲 “Says” の宙空への舞い上がり感をピアノだけでやってしまってるくらいに。
そして2曲目 “Pripyat” では、はじめの気を削るような音に、おもちゃっぽい高音が響きわたるなか、そっと流れてくる高速なミニマル反復なリズム。その反復のはじまりが、気づけば流れてきていた、っていうかんじで。ちからづよいメロディになる細やかな音のつらなりと、さらに暗闇にトツゼンに降り注ぐ強い光のような、高い音のゆらめき。そして、最後の残響は暗い闇のドローンと化して。

3曲目。すこしエキゾティックな音のつらなりとリズムのかんじ、それまでの音の処理はあまりなくまっすぐプリペアードピアノの音なんだけれど、中盤から透明度の高い音の靄がかぶさってきて。そのちからづよさと透明感のあわさりが。

4曲目 “Who Lived Here” は唯一ひとりで演奏ではない曲。コントラバスとクラリネット、バスクラリネットの哀愁たっぷりなゆらめきのなか、水の流れのようなパーカッシブな音とともに、ゆったりとながれてゆくような。

5曲目 “Agadam” 冒頭。音のつらなりがけっこう驚きました。Hauschkaのなかではいままでにない、音の連なり自体がメロディアスな。そこから一気に反復してゆく瞬間が、たまらない。ノイズのような音もリズムになる音とかさなって。

6曲目 “Sanzhi Pod City” はまたエキゾティックな音のつらなりとリズムのかんじから、7曲目 “Craco” の叙情たっぷりなメロディアスな曲につづいてゆき。
8曲目、9曲目ではまたミニマルな反復が小気味よくリズムをつくりだしてゆき。

最後 “El Hotel Del Salto” ではミニマルな反復というよりも、パーカッシブな音を主体とした、夜の森の奥でのフィールドレコーディングを増幅させたかのようなざわつき、その奥からゆっくりと強い雨をふらせる雨雲と強風が近づいてくるような。

全体を通していままでのものよりもかなり大胆な音の処理がほどこされていて、でも細部までしっかりと細やかなミニマル反復が。
どの曲もピアノの音がちからづよく、叙情的なというよりはかなり壮大なイメイジ。そして、けっこう暗黒なかんじが。でも、やっぱりひとつひとつの音がとても微細で、その集まりだから、耳から肌からしみ込んできます。さらにぼやけた音の処理で、よりなめらかに。

いままでにあった、プリペアードピアノのもつおもちゃっぽいゆかいさと、せつないメロディの組み合わせで、というよりも、もっとシリアスな雰囲気。

ひとびとに捨てられた巨大は廃墟の荘厳なシルエットと、その内部で蠢く捨てられたものたちの哀しみ、孤独が奏でられているような。そこに強大な自然ちからも徐々に作用してきて、朽ちてゆく様子もみられるかんじ。

ライナーでは、ピアノ主体の、っていうことからだとおもうけれども、勢い余ってテクノへの反抗みたいにかかれてあるけれど、それはちがうなとおもったり。
こもった音像に、インダストリアル感さえあったりと、むしろいまの地下テクノにうまく呼応してるくらいな気がします。
もう、やっぱりHauschkaは無条件にすばらしい。




ニッポン盤にはもう1枚、“I Close My Eyes” とタイトルもつけられた、プリペアードではないピアノ曲集。こちらは本作のほうとはちがい、やさしくあたたかみのある曲たち。そう、ウェールズのレーベルSereinからの “Youyoume” にもあったみたいに、プリペアードではないピアノも、すばらしいんです。こちらはこちらで、春の昼にききたい。

Hauschkaをきくと、たくさんの微細な音のあつまりだから、耳のちからがすごくひきだされるんです。なので、Hauschkaのあとにほかのものをきいたら、いままできこえなかった音まで拾えたりします。ほんとに。いま、BIG LOVEさんで買ったCroatian Amorの再発なのをききはじめたんだけれど、やばい。


で。Facebookで、秋にはニッポンツアーを予定してるとのこと。
また、京都とかまでストーキングしたい。
秋まで死ねないんで、バイクに乗りたくない、自宅買い取りなんか、いきたくないです、よ。



あと。
我らがカセット神、Brad RoseのCaught On Tape3月のんが。
100% SilkのGolden Donnaだけもってた。TranquilityとNoumenal Loomのんは届くの待ち。NapsときょねんのんもよかったWWCも注文。
きょう。けてぃっくっていう音楽やらいろいろを宣伝するサイトで、
時代はまさにカセットテープ!?
と、あのイヴェント関連のことがかかれてあって、ひねくれてるわたしはカセットテープ熱が冷めったりしないかじぶんで心配ではあったけれど、そんなん無視してこれからもマイペースで買ってゆけるくらいにはおとなになりました。
カセットデコレーションとかいってならべられたものが、これまでにわたしの買ったどのカセットテープにもかなわない、中学校の美術の時間の作品みたいなものじゃあないか、本気でカセットテープを普及させようとかかんがえてるのん? とか暴言吐きそうになったけれど、黙りこんでおさえるくらいにはおとなになりました、よ。
で、こういうことかくから、こわがられて、モテないんだわ、っていうことには、いまいち気づけてません。。

http://www.factmag.com/2014/03/19/caught-on-tape-the-months-essential-cassette-releases-march-2014/
| hauschka | 05:24 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |